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宮島には本当に餌がないのか

宮島って神社や商店街のイメージがあるけど、鹿の食べ物ってほんとうにあるの?
 


宮島というと、こんなイメージをされる方が多いと思います。

出典:宮島松大汽船HP
参道があって商店街があって鳥居と神社。あと背後に山。市街地4割、あと自然があるところが6割くらい?









GoogleMAPで見てみましょう。
実際は島の97%以上が森林です。
(宮島の面積3,039ha:森林面積2,967ha)
宮島の寺社や市街地や、芝が生えている平地は宮島の極々一部分です。



 

 


 餌の必要量

まずは鹿はどれくらい餌が必要なのか計算してみましょう。
一般的に鹿は1日あたり約3kgの餌を食べると言われています。
宮島には、600頭以上の鹿がいますので、1日あたり 3×600=1800kg=1.8㌧の餌が必要となります。
一年では約657㌧必要となります。

鹿は何を食べているの?

森がたくさんあるのは分かったけど鹿って芝が主食じゃないの?

奈良公園のイメージで芝が主食だと思われている方が多いですが、実は南日本の鹿が食べている物の大半(7~8割)は、葉っぱや新芽、樹皮などの「木」由来のもので、芝などの「草」は1~3割程度です。(ただし笹が多い地域は草の割合が増えます。)
(参考論文:徳島県西部に生息するシカの食性̶性差及び年齢差における違い)
もちろん地域や季節などにより食べるものは変わってきますが、それだけ鹿は環境によって食べ物を変えて適応できる力があるということです。

宮島に鹿が食べられる植物はあるの?
では、宮島には鹿が食べることができる植物はあるのでしょうか?よく宮島には鹿が食べない植物が多いと言われてますよね。
宮島の植物の種類は広島大学の宮島研究所で詳しく調べられています。
(参考:広島大学デジタル自然史博物館
植物ごとに鹿が食べる、食べないを調査した論文があったので参考に宮島の植物を確認してみました。
(参考論文:日本におけるニホンジカの採食植物・不嗜好性植物リスト
大半が食べることのできる植物でした。

宮島の森林の割合

鹿が食べられる植物の種類が多くても数が少なければ意味がないです。
林野庁が公開している資料から調べてみました。
(参考:宮島国有林の概要
宮島の森林の81%の国有林についてですが、マツ・スギ・ヒノキなどの針葉樹林が37.2%、広葉樹が62.8%。
なお、アカマツ、ヒノキは食べられる植物です。広葉樹も大半が食べられる植物でした。

 
宮島の森では、鹿の届く高さに葉っぱは無いんじゃないの?

ご指摘の通りです。ではどうやって木を食べているのでしょう?
・伸びてきて届くようになった葉っぱや新芽、ひこばえを食べる
・落ちてきた葉や枝を食べる
・樹皮を食べる
などがあります。
食べられているから、鹿の届くところに葉っぱがないのです。
人からすると落ち葉なんてと思いますが、研究からも落ち葉が重要な栄養源になっていることが分かっています。鹿は栄養価の低い食べ物をたくさん食べる動物なのです。

落ち葉などの量を推定してみる

 
落ち葉なんて大した量じゃないんじゃないの?

では潜在的な餌となり得る、落ち葉等の量(リターフォール量)を計算してみましょう。
一般的な落ち葉等の量は年間4~6㌧/haと言われています。
(参考論文:四万十川流域の暖温帯上部天然林におけるリターフォール量の季節変化
宮島の森林は2,967haあるので2,967ha×4~6㌧で実に年間11,868~17,802㌧もの落ち葉等があることになります。
鹿の年間餌必要量の約20~30 倍の量になります。
更に、これに加え新芽やひこばえ、割合は少ないですが芝を始めとした草類が加わります。

あくまでも潜在的な餌量なのでこれが全て利活用できる訳ではなく、思考実験レベルの計算ですが、少なくとも「宮島の森林には餌がない」という主張は明らかに誤りであることは判断できるかと思います。

これでも宮島には餌がないと思われるでしょうか?

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